<span itemprop="headline">ロード―シャの休日</span>

昨日は休日、用足し兼ねて街に出向いてみた。

自分が幼少の頃、同じ宇都宮市内に住みながらも駅西側は街場の印象だった。
因みに自分が住んでた界隈は当時、国道沿いに個人商店が多数立ち並び、
大きな工場が数箇所、小さな町工場等も商店街に紛れ込んで、人も雰囲気も
所謂下町的な場所だった。

今では比較的ビル等が立ち並んだ駅東側、当時は田畑が多くあり今の風景とは
大違いに違っていた。駅東の住民はよく駅西側の繁華街に行く事を「街に行く」
と表現していたっけね。そんな繁華街のほぼ中心にドンと構えてた三越系列の
上野百貨店はウエノサンと呼ばれ、包装紙ですら有難がれてた。
その近くの福田屋百貨店に行くと、最上階のレストランでお子様ランチを食べるのは
街に行った時の楽しみだったけど、貧乏労働者の息子は年に何回か連れてってもらう
だけだった。そんな街に出向く時の交通手段は決まって路線バス。当時は街中に車で
行く発想はなかったのであろうし、一家に1台の車が精一杯の時代。同級生や近所の家に
車が無い何てのも何人も居たので車が無い事が特に珍しい事でもなかった。

時代は流れ、今の今の話。

自分も親父の後を継いで貧乏労働者となり、日々の楽しみと云えば安酒での晩酌。
この辺も親父と変わってないと云うか、親父は中間の酒だったか?(笑)
そんな自分もたまには細やかな贅沢をしたい。用足し終えてとある店へ入る。
宇都宮では貴重な、午前中から(とはいっても11時)から営業している大衆酒場。
先日も旧友との昼酒で訪れた店だ。

開店と同時に2名入店、程無くして自分も入店しカウンターの隅の席に腰を下ろす。








先ずは、炭酸無しのレモンハイでアテは鮪刺し。
此処の鮪刺しは安くても美味い。








普段は刺身をこ~ゆ~風には食いませんが、今日は労働者の休日。
下町労働党(謎)的な食べ方をしましょっと、幼い頃は、サビ抜きだけど
こ~ゆ~風に食べてたっけね(笑)。コレはコレで美味い。








2敗目もとい2杯目は、ホッピー。
此処は中が多いのですよ。
呑みたい衝動に負けてしまった…。








アテは厚焼きと鯖焼。

この組合せならば、冷酒か今時期なら熱燗といきたいトコだけど…
体調があんまし良くないので自粛っと、体調思わしくないなら酒呑むなと
いう声が上がりそうだけど、今日にしか出来ない事も有るのさっと開き直ってみたり。

2杯目を呑み始まり間も無くして、常連と思しきおやっさんが隣に座る。
風貌といい注文したものと云い、粋なおやっさんだ。

しばらくしておやっさん、煙草に火を点けた。
今では煙草を吸わない自分、止めてから8年位経つけど止める
最後の10年以上吸ってたジタンそれとガラム、ピースの香りは
非喫煙者になった今でも気にならない。

漂う煙の香りに思わず表情が変わった自分、それに気付いたおやっさんは?
「煙草はお嫌いでしたか?」と声を掛けて来た。
いえいえ、今でこそ煙草を吸いませんが一時は1日2箱半吸ってた事も有るんですよ。
今でこそ煙草の匂いが気になりますが、ピースの香りは今でも好きなんですよ。

そんな会話から、話が弾み始めた。

店のテレビからはニュースが流れる。

おやっさんとは、時事ネタや地元のネタでの話が続き正午を過ぎた頃、
TVからは徹子の部屋が流れ始めた。ゲストは尾藤イサオ。
尾藤イサオの登場で、おやっさんの音楽トークに花が咲く。
ポールアンカー、ニールセダカ、それと初期のビートルズ、それと日本のロカビリー等々…
因みにその時代には生れてませんが、どれとっても自分のツボである50年代60年代の
話のオンパレード!!初期のビートルズ除いて実母が好きな音楽そのものだ。
それもその筈、そのおやっさんは実母と同じ歳だったのです。いや~若い。

昭和30年代トークに夢中になり、追加で注文した冷奴と酎ハイの写真を撮り忘れてしまう程。

これぞ、大衆酒場の醍醐味。
若い頃は、バーでこんな場面があり色々と学んだ事を思い出した。

楽しい時間はアッという間に過ぎ、おやっさんは一足先に退店。

「今日は楽しかった、また此処でお会いしましょう」とおやっさん。
自分も楽しかったです。また此処でお会いしましょう。

酒場での出会いは一期一会ではない。
多分、このおやっさんともまた会う気がした。

おやっさんが退店して3分32秒後(ほんとかよ?)自分も退店。
今日は楽しい昼酒を頂けた事に感謝。








ふらふら歩き、〆のら~めんと土産を求めてとある店へ。








此処は貧乏学生時代に散々お世話になった店。
女将さんと旦那さん、それとあんちゃん(息子さん)で切り盛りしてたけど、
女将さんは2011年の6月に亡くなったとの事で少々寂しい気もするが店は健在。
カウンターに座り、此処のオリジナルの麺と土産品を注文。
程無くして提供された啜りながら当時の事を思い浮かべていた。








腹も膨れたし、程よく酔いも回ったし帰る事にしよう。
途中、老舗の和菓子屋でこれまた土産物を求め、最寄りのバス停でバスに乗る。

バスに揺られながら虚ろな目の自分、走馬燈の様に今日の出来事が頭を駆け巡る。

次は〇〇。

アジトの最寄りのバス停だ。

停車ボタンを押し、コートの胸元から徐にバスカードを取り出す。

カシャン・スー

バスカートに新たな穴が刻まれた。
そろそろ、バスカードを買うようかな?あと2,3回乗れるかな?
残量表示を見てそんな事を考えた。

バス停より歩いてアジトへ。

ささやかな一人の楽しみの時間が終わろうとしていた。

さ、け~やんが戻るまで昼寝でもするか…

昼寝から覚めたのは、け~やんが帰宅する約30分前の事だった。

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